お知らせ

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黒木登志夫先生に山上の光(さんじょうのひかり)賞

2017/06/13

21世紀構想研究会のアドバイザーである黒木登志夫先生が、「山上の光賞」を受賞しました。

 この賞は健康・医療・医学分野で素晴らしい活躍をしてきた75歳以上の先生方を顕彰するもので、黒木先生を受賞者として推薦したのは、21世紀構想研究会アドバイザーの黒川清先生です。表彰式の壇上には、受賞者と推薦者が並ぶ演出がありました。

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  今年は医師部門で伊東潤造先生(88歳)、高谷雄三先生(78歳)、西野瑞穂先生(76歳)、研究者部門で黒木登志夫先生(81歳)、看護・保健部門で坂本フジヱ先生(93歳)、NPO・ボランティア部門で村上一枝先生(76歳)、公衆衛生部門で久道茂先生(78歳)に授与されました。

黒木先生の受賞式での挨拶

山上の光賞という栄誉ある賞を授与され、大変光栄に存じます。

今回の受賞者の平均年齢は81歳ですが、私はちょうど平均年齢に当たります。この会を組織されたRoy Pfautchさんも,受賞の推薦をしていただいた黒川清先生も同じ1936年生まれです。

 

私は,医学部を出ておりますが、正直のところ、一人も患者さんを治したことがありません。医師としてのセンスは非常によいと自分では思っておりますが、残念ながら知識と技術がありません。しかし、56歳の時に早期の直腸癌、63歳の時は狭心症を、自分で早期発見して完全に治癒しております。それだけでも医学部を出た価値があったかと思っております。

 

私が一つだけ、薬の開発に貢献したのは、活性型ビタミンDが皮膚の乾癬に有効であることを示す研究をしたことです。しかし、最近、この賞のスポンサーであるセルジーン社が開発した飲み薬の特効薬、アプレミラストによって、非常に残念なことに、とって代わられようとしています。

 

私は、2001年65歳の時に、岐阜大学の学長に選考されました。それまで、自分勝手に気ままに研究をしてきた私に学長など務まるはずがないと,家族も友人からもいわれました。私もその通りと思っていたのですが、ところが、なかなか立派な学長になってしまいました。改革派の学長として,大学の教職員、文科省ともずいぶんと渡り合いました。

 

学長を辞めたあと、文科省の独立行政法人日本学術振興会に迎えられ,ちょうどその時に始まりました世界トップレベル研究拠点(WPIといいますが)のプログラムディレクターに就任することになりました。それ以来、10年間、現在の9つの研究拠点を世界に誇れる研究所にするべく努力してきた次第です。

 

私のもう一つの顔は,サイエンスライターです。70歳代には5冊の中公新書を書きました。2年に1冊というのは、かなり大変な作業で、週末ほとんどをコンピュータに向かっている感じです。昨年出しました『研究不正』はNatureの東京編集部から英語に翻訳するよう推薦をいただき、Oxford Univ Pressを紹介していただきました。実は,先週Oxfordでこのことを決めてきたばかりです。

 

昨年日本人の寿命の限界を計算してみましたところ、114.5歳が限界という数字が出ました。とするとあと33年も生きることになります。さすがそれは長すぎると思いますが、80歳男性の平均余命8.6年くらいまではがんばり、WPIの仕事、Oxford出版会から出す研究不正の英語版ともう一冊くらい本を書きたいと思っております。

本日は栄えある賞を頂き本当にありがとうございます。

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21世紀構想研究会のアドバイザーの安西祐一郎先生(写真の右端)もゲストとして招かれており、黒木先生(中央)、黒川先生(左端)と21世紀構想研究会の3人のアドバイザーが顔を揃えました。