お知らせ

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第138回・21世紀構想研究会の報告

2018/01/29

018年1月26日(金)に開催された第138回・21世紀構想研究会は、尾原蓉子先生の講演でした。

講演タイトルは「Fashion Business創造する未来」で

未来は、予測するものではなく、創るもの―

デジタル化とディスラプションで日本はどう変わるか―

でした。

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 ファッションの世界の急激な様変わりを豊富な現場からの事例をあげながら講演しましたが、それは同時に製造業をはじめとする産業界の急速な様変わりを余すところなく示した内容であり、参加者に感銘を与えました。

 はじめに「巨大な変化が進行中」として、どのような世界が待っているのかとしながら「第4次産業革命」のキーワードは「デジタルと「ディスラプション」であるとしました。

 そしてビジネス・エコシステムの構築とは、多様なステークホルダーと未来を作り社会課題を解決することであり、それは業界を超えた連携が必要であることを語りました。

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 次に今はどんな時代であるかをファッション・ビジネスの世界から確認する試みを語りました。

 消費者価値観の変化、グローバル化、技術革新、産業構造の変化、企業の社会的責任などをあげながら、今世紀になってからすい星のように飛び出してきたアマゾンのアグレッシブな革新的な活動をあげました。

  また、ディスラプションの事例として、デジタル技術によって変わるビジネスモデルと“価値創造”は①Uber、②Rent the Runway、③ Warby Parker、④ Bonobos、⑤Everlane、⑥Zoom Piza、⑦ShopShopsなどの事例を次々と紹介して解説し、急展開する世界のビジネス現場を示しました。

    ファッション・ビジネスの変容を理解する3つのチャートとして次の点をあげました。

①  「マズロー欲求5段階論」-先頭集団は「自己実現」へ =欲求の根本的変化

②  「価値創造」は、時代とともにどう変化してきたか? 「創造する価値」の進化図

③  「ファッションの主要価値の2分化」  

 また、企業が取り組むべき課題としては、未来へ向けて5つのキーワードをあげました。

 <■ビジネスの変革> 

①  パーソナル化: ナノ化する消費者、個客への照準/対応、カスタマイズ、パーソナライズ  事例: Stitch Fix (Shoes of Prey) 

②  サービス化: シェアリング/レンタル、「モノの販売」→「もの+ソフト」の販売=サービス機能

    事例: Rent the Runwayの考え方=個人財から社会財へ、Bonobos (Trunk Club)

③  スマート化: AI/深層学習、AR、RFID、IoT、センサー、自動化(無人店舗)、ウェアラブル  

 事例: Rebeca Minkoff、Project Jacquard、Amazon、

 <■産業構造のエコシステム構築> (デジタル化・IoTが不可欠)

④  ストリームライン化: サプライチェーン=Short/Slim/Speedy、Showrooming、3D印刷

 事例: Warby Parker (Zoom Pizza、Everlane)

⑤  プラットフォーム化(コネクト化):企画・生産・物流・販売のプラットフォーム、PLM、オムニチャネル

 事例: Nordstrom、SuitsSupply     

  最後に日本のファッション産業構造に求められる変革要求として、ビジネスのデジタル化を急進的に急ぐこと、垂直化・水平化を確立するために企画・生産・物流・販売の協業/シンクロ化、プラットフォーム化をすること。これは垂直化・水平化 によって“価値の拡大”をもたらし、これが“コストの削減”を越えるものとの認識を示しました。

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  尾原先生の講演は、ファッションビジネス界を越えた世界観を語ったものであり、参加者に深い感銘を与えました。質疑では主として製造業で活躍する人からの感想と質問が出ました。

 その中でも異質なコメントは、早稲田大学の福岡秀興教授(産科婦人科学)から「日本の妊婦は、世界的に見ても痩せている女性が多い。これはファッションの動向と無関係ではないのではないか。痩せた妊婦からは低体重の新生児が生まれることが多く、日本は世界の中でも低体重新生児出現のワーストワンである」とのコメントが印象に残りました。

(文責・馬場錬成)