お知らせ

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第145回 21世紀構想研究会の報告

2018/12/16

2018年12月13日(木)

 2018年最後を飾る研究会は、馬場錬成・21世紀構想研究会理事長が「ノーベル賞と日本人の創造性」のタイトルで講演しました。ノーベル賞の中でも生理学・医学賞に焦点をあてたもので、不十分ではありますがその内容の大略を報告したいと思います。

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 今年のノーベル賞受賞者となった本庶佑・博士を入れて、これまでの日本人ノーベル賞受賞者は26人になり、物理・化学・生理学医学の3分野では23人となり世界では5番目になりました。

スライド1 戦前にノーベル賞受賞者になった人はいませんでしたが、候補になっていた日本人を紹介しました。ノーベル財団などから入手した文献をもとにまとめたもので、北里柴三郎、野口英世、鈴木梅太郎など、あと一歩でノーベル賞を受賞した科学者の業績などを紹介しました。野口英世があと一歩でノーベル賞を受賞するところだったという話には、感動しました。

 戦前にノーベル賞受賞候補なった人は、ほとんどが生理学・医学賞でした。しかしどうしても受賞できなかったのですが、その無念を晴らしたのは、1987年の利根川進先生の受賞でした。生体が抗体を作るときに遺伝子を適宜、組み替えてつくっていたという衝撃的な事実を世界で初めて報告しました。

2018年特別教養の講義PPTの画像 また、2012年にiPS細胞の発明で受賞した山中伸弥博士は、体細胞を人工的に改良して、様々な臓器を細胞分化できる幹細胞を世界で初めて作ってノーベル賞を受賞しました。この成功によって再生医療の実用化が飛躍的に早まったということです。

 そして大村先生は、2015年に北里柴三郎博士の無念を115年後に晴らしました。第1回ノーベル賞の有力候補になっていながら惜しくも受賞できなかった北里研究所の創設者の北里柴三郎博士の無念を晴らしたのです。

 北里研究所を建て直した大村智先生が受賞したのは感動的でした。大村先生は21世紀構想研究会のアドバイザーであり、この日の研究会にも出席され熱心に聞いておりました。

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 熱帯地方の寄生虫病を根絶する特効薬の開発でノーベル賞を授与されましたが、しかしその業績は、480種以上の化学物質を発見した中のたった1つの業績です。スタウロスポリン、ラクタシスチンなど現在、抗がん剤の創薬に応用されている物質も発見しており、2つ目のノーベル賞受賞も有り得るとの見解を紹介しました。

スライド6 2016年の大隅良典先生のノーベル賞業績は、たんぱく質を作るときの原料になっているアミノ酸を再利用する驚くべき生体内の機能を発見してノーベル賞を受賞した業績を紹介しました。

スライド7 今年受賞した本庶博士の業績も、がん細胞が免疫細胞の能力を無効にすることを解消する物質を発見し、これを抗がん剤オプジーボの開発に結び付けた業績を紹介しました。

 生理学・医学賞の受賞者は、どの業績も世界の科学史に燦然と輝くものであり、日本人の独創性を示唆していました。

スライド8 最後に日本人に独創性があるかどうかについて講演をしました。自身が授業をしている東京理科大での体験をもとに紹介しました。アドビシステムの国際調査をもとに、諸外国の多くの若者は自分のことを創造的と思っているのに、日本の若者は極端に少ないというショッキングな報告を紹介しました。

スライド9 ところが、諸外国の若者は、日本人は創造性があると評価しており、日本人が思っていることと反対であることを示しました。

 そして馬場理事長が、ノーベル賞について授業をおこなった直後に日本人の創造性について「あるかないか」を問うレポートを学生に書かせたところ、73パーセントの学生が、創造性があると回答してその理由を書いてきたことを紹介しました。

スライド10 日本人には創造性があるにも関わらず、社会全体が創造性をつぶしているという学生の見解を紹介し、日本社会の問題提起をして講演会を締めくくりました。

報告・21世紀構想研究会事務局 峯島朋子