お知らせ
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第106回21世紀構想研究会報告
- 2013/11/23
第106回・21世紀構想研究会は、科学技術振興機構(JST)・中国総合研究交流センターの上席フェロー(元JST理事長)、沖村憲樹氏の講演で盛り上がった。
講演タイトルは「日本の科学技術は中国に抜かれた」というショッキングなものである。沖村氏は、中国の巨大大学群を築いた戦略的な大学・研究現場の統計データを示し、さらに世界に例がないハイテク・テーマパークの現状を紹介した。
さらに中国の最近の研究水準が、欧州・日本に接近してきたこと、これに伴って産業技術力も急速に向上していること、宇宙、原子力など巨大プロジェクトでも日本に並び、あるいはぬき去っていった実情を報告した。中国の科学技術政策は、強力な政策遂行体制で推進しているものであり、政策決定と実行に時間がかかる日本の各種データと統計の比較なども随所で示した。
この日の講演内容は、これまで一般に示されていなかった中国の科学技術の客観的なデータや現状を紹介して、日本の科学技術政策遂行に刺激を与えるためとも受け止められるものだ。また、中国の科学技術の現状に対する正しい日本人の視点を提起したものでもある。
講演後の質疑応答では、次のような質問が出た。中国のハイテクパークは、不動産投資と外国企業や技術を呼び込むものであり、言われるほどの効果は上がっていない。それほど大きなインパクトはないのではないかとか中国は近未来、国が崩壊するのではないか。あるいは、中国の模倣品は世界中にばら撒かれている現状を憂慮する意見なども出された。
沖村氏とこの日、出席していた共同研究者の中国センターのスタッフなども加わって、こうした観測や見方に対する意見交換と討論を行い、実のある講演・討論の時間だった。