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知的財産を巡る日米中の争い、巻き返せ日本 講師 荒井寿光 その2

2022/03/10

荒井寿光さんの講演のその2です。

        

アメリカは、20世紀初めの頃から、世界一の特許国家、発明国家、工業国家になり世界中に対して、基本特許で支配して来ました。これが知財覇権ということですが、それを死守することを今やっています。これを最初にやったのがレーガン大統領でした。

日本人がIBMの機密を盗んだ事件がありました。ちょうど今中国が問題になっているのと同じことを日本はやったもので、日立とか三菱電機の社員が逮捕されました。日本人はおとり捜査がけしからんと言いましたが、アメリカにしてみれば、おとりをしなければ日本人を捕まえられないと言うことで、おとりで逮捕したものです。日立や三菱電機はIBMに損害賠償金を払いました。

半導体の特許についても、テキサスインスツルメンツが基本特許を持っていたので特許料を払うことになりました。日本が半導体を作るなら、ほどほどに輸出しろというような半導体協定が結ばれました。特許をテコに日本の追い上げをかわしました。

これを世界中に広めようとしたのが、WTO(世界貿易機関)です。TRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)を作り、知的財産を守ろう、特許や著作権を守らない国は自由貿易に入れさせないという仕組みを作りました。

このときにアメリカが考えたのは知財は技術力がなければ駄目だ、しかし単なる技術力だけでは不十分で、司法の力で裏付けする。技術を法律で守るのが知的財産だと気付いた。映画や音楽も著作権で守らないといけない、条約によって米国の知財を外国に守らせるようにしました。

      

レーガン大統領のときに、高度で専門的な技術がわからない裁判官がやっているのでは知財の裁判は機能しないということで、専門の知財高裁をつくりました。知財の弁護士が大変増え、法律にも技術にも強い弁護活動をやるようになりました。域外適用、即ちアメリカの法律を世界中で適用することによって、アメリカが知財覇権を握り、知財をもって世界中の技術や産業を支配することにしました。

これは特許庁で調べた、最近10年間の、特許の損害賠償額の一番高いものです。日本で一番高いものは20億円ですが、アメリカは2800億円、日本の140倍です。中国は以前は低かったのですが、今どんどん上げて60億円になり、日本の3倍まで上がってきました。

トランプ大統領は、「Make America Great Again」を掲げ、もういっぺんアメリカを強くすると宣言しました。中国がアメリカの技術、知財を盗んでいるのはけしからんということで、中国に史上最大の制裁として関税を引き上げました。

このような知財戦争を受けて、中国の習近平国家主席は、技術力を高め、知財で守ろうと、受けて立ちました。

このスライドの左側に、「The future will be made in America」と見えます。アメリカが技術を強くして、アメリカで作ることによってアメリカを立て直すんだということをバイデン政権はやっております。

大量の国家資金を投入して、技術開発をすることを言っています。

旺盛な民間活力を使おうということです。アメリカのGoogleAppleなど民間が強い。あるいは宇宙にも民間企業で行くなどはアメリカの強みです。

知財の流出防止をするということで、ハイテクの技術や製品の輸出制限をしています。日本にも協力を求めています。

④GAFAGoogleAppleFacebookAmazonに代表されるような、ITの企業が集めてくるビッグデータがあります。このデータ自身は資源ですから、これをアメリカの企業が握っていれば、石油のメジャー企業によってアメリカが世界を支配したように、アメリカの企業が世界のデータを支配するとことで、アメリカの支配が維持できるということを、バイデン大統領のもとで進めております。

つづく