お知らせ
お知らせ
第137回・21世紀構想研究会の報告
- 2017/12/15
「2期目に入った習近平政権の政策とその課題」報告
拓殖大学海外事情研究所・澁谷司教授
今年最後の21世紀構想研究会の講演・討論は、中国問題の専門家である澁谷司教授をお招きしてお話を伺いました。
澁谷先生はまず、習近平主席の権力集中化とその狙いについて見解を述べました。
「中国の夢」(「中華民族の偉大なる復興」)の実現なのか、「第2文革」(「左派化」)を始めるためなのか、 習近平主席は毛沢東主席を超えたいのかなど、その思惑について解説しました。
「反腐敗運動」については、主として「上海閥」を叩くために行っているのではないかとする根拠をいくつかあげて分析。 習近平―趙楽際―陳希ラインであらゆる人事を決定しているのではないかとする見解に言及しました。
習近平政権の今後の政策については、イデオロギーの強化、学校での「習近平思想」の普及、国有企業・民間企業を問わず、共産党組織を設立することなどをあげました。
また「美しい中国」の建設には、経済発展とのバランスを取りながら大気汚染・土壌汚染・水質汚染を解決し、6000万人の最貧困層を一掃し、2020年~2050年までに「共同富裕」を達成する目標を立てているだろうと語りました。
「反腐敗運動」に関しては、 庶民は「大トラ」(上級幹部)よりも「ハエ」(地元の下級官僚)を叩いて欲しいと思っているのであり、このような国民の要求にどのように応えていくのか。
また、党幹部や軍が既得権益を持つ国有企業の巨大化を目指しているようなら、大きな課題を抱えることになる。 国有企業は「親方五星紅旗」意識があるので、銀行からの借入金負債が大きくなるだろうとの危惧を語りました。ゾンビ化している国有企業を整理できるかどうかが大きなカギになることも指摘しました。
さらに北朝鮮問題については、江沢民時代、中国が北朝鮮に核・ミサイル技術を供与したため、今日、東アジアが不安定化していることを指摘。 今の北京政府は金正恩委員長を嫌っているとしました。
一方で金正恩委員長は、「上海閥」と密接な関係を持っており、「上海閥」は、北朝鮮を利用して、習近平政権に揺さぶりをかけているふしがあるとの見解を述べました。