お知らせ

お知らせ

第113 回21世紀構想研究会の報告

2014/11/20

20141014_201628
 

 10月14日開催され、読売新聞特別編集委員、ニュースキャスターの橋本五郎さんが「安倍内閣の課題と難題」のタイトルで講演しました。

 講演内容の要旨は次の通りです。

  「断固」と「丁寧」が需要だ

 安倍政権の高い支持率が続いている。これは最近の政権では珍しいことだ。政権を運用する最大のキーワードは、「断固としてやる」ということと「丁寧にやる」ということだ。そうでなければ国民の指示は得られない。

 安倍内閣は、消費増税という政界ではタブー視されてきた政策を乗り越えてきた。大平、中曽根、竹下、橋本政権なども増税政策を乗り越えることができなかった。消費税5パーセントから8パーセントへの増税の際には確かに丁寧にやった。100人の有識者に聞き、90パーセントの賛成を得て踏み切った。

 いま、これを10パーセントにするかどうかに差し掛かっている。いま40人の有識者に聞いているそうだが、反対する人はほとんどいないと聞いている。しかし結論が分かっていても丁寧にやることが大事だ。特定秘密保護法や集団的自衛権の憲法解釈見直しでは丁寧でなかった。増税をやるにしても入念な準備が必要だ。

  外交戦略と閣僚のスキャンダルは大丈夫か

 安倍政権の外交問題だが、小泉さんが5年間、靖国参拝で中国とうまくできなかった後を安倍さんは政権発足後真っ先に訪中してよりを戻した。その後、靖国参拝をしなかったことを悔やみ、今回の第二次内閣発足後は、靖国参拝して日中間は冷え込んでしまった。

 APECのホストになる中国が、果たして期間中に日中首脳会談をやらないのかどうか。周到な準備が必要だ。中曽根が韓国とよりを戻した際には、韓国語で歌を練習して訪韓のときに唄うという演出をやって成功した。

 準備不足を   いうなら鳩山さんは、沖縄問題で何も準備もしないのに口先だけで約束してうまくいかなかった。このようなことではダメだ。

 安倍政権の心配事は、健康問題と閣僚のスキャンダルだ。閣僚の身体検査を入念にしておかないとスキャンダルになる。それに答弁能力も問われる。政策の失敗で倒れるかどうかは分からないとしか言いようがない。

 消費税をあげて給与をあげよと企業に迫っている首相も珍しい。格差是正も大事だ。2年目になった成長戦略の今後のでき次第で安倍政権の行方が分かる。

  地方再生は地方住民の気持ちに配慮できるかどうかだ

 最大の課題は地方再生だ。来年、統一地方選があるから地方再生という政策を持ち出すのでは実効性がない。動機が不純だ。本気になって取り組むのか。もちろん地方再生には、その地方に住んでいる住民の意識の問題でもある。住民がその気がなければ成功しない。

 自分の体験で言うなら、蔵書を2万冊秋田県山本郡三種町の旧鯉川小学校に寄贈し成功したケースを紹介したい。7つの集落の500人規模の町だが、毎日40人のボランティアが集まって本を整理して立派な図書館を作ってくれた。年寄が生きがいを感じて取り組んでくれた。

リタイアした人を社会が生かすことも重要だ。警察官をリタイアした人を無人交番に出てもらうとか、教員をリタイアした人を学校に呼び戻すなど、社会がうまく使うことが大事だ。

企業も同じだ。年寄の自慢話を我慢して聴いて役立ってももらうという辛抱も大事だ。

 自分の両親は雪深い寒村で苦労して6人の子どもを育てた。人に迷惑をかけるなという気持ちを死ぬまで持ち続けた。このような年よりは日本では多数いる。そのような人々への愛情がない地方再生ではうまくいかない。

 地方で、一人で生きている年寄にどのような愛情をかけるか。それは政治のやることだ。都会育ちの二世、三世政治家が増えているが本当に地方の人々の気持ちが分かる政治家が取り組まないと、単なる予算のばらまきと予算の奪い合いで終わってしまう。

 安倍政権の正念場を迎えている。