お知らせ

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第116回21世紀構想研究会の報告

2015/02/04

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「荒井寿光さんの叙勲をお祝いし知財現場の課題について語る特別講演会」

 2015年1月29日(木)午後7時からプレスセンタービル9階大宴会場で開催され、約40人が出席して楽しい講演と意見交換が行われました。

 荒井さんの特別講演タイトルは「特許人生・知財人生 これからの知財を考える」でした。

 日本でただ一人「知財評論家」を名乗る荒井さんは、特許庁長官、通商産業審議官、内閣官房知的財産推進戦略事務局長などを務められるなど、1996年から日本の知財立国のためにご尽力されてきました。

 官界での長年の功績により、2014年秋の叙勲で「瑞宝重光章」を受章されました。今回は、21世紀構想研究会の皆さんで叙勲のお祝いをし、荒井さんにはこれまで活動してきた知財人生を振り返っていただきながら、日本の知財の課題と将来展望を提示していただきました。
 

 荒井さんは1996年に特許庁長官に就任し、それまで停滞していた特許行政の改革に取り組み、日本に知財立国の実現に初めて取り組みました。講演会では長官に就任後に気が付いた特許行政の「伝統」を打ち破るために特許庁親切運動を開始。特許庁は従業員2500人、売上1000億円規模のサービス産業と位置づけ、それまでの国家権力を付与する「お上意識」を献上するように改革しました。

  知識社会を迎えて知的財産が非常に重要になったことを啓発する多くの講演を行い、多数の著書も世に出しました。行動する長官として産業界からも歓迎され、その後、内閣官房知的財産戦略推進事務局長に抜擢されました。

  このような経歴の中で活動した日々のことを振り返りながら、日本の知財現場に横たわっていた問題が今なお未解決、未改善のままにあることをとらえ、さらにそれを解決・改善する道筋まで示しました。

  分かりやすいパワーポイントを駆使し、会場と双方向の講演であり、聴く人の興味を引き出す手腕はいつもの「荒井節」で魅了させました。話題は工業製品の特許に限らず、医療、農業、クールジャパン、模倣品対策など多角的な話題に広がりました。

  荒井さんは近々「知財立国が危ない」という本を日経新聞から出版します。この本には、日本の知財課題を出すだけではなく、解決策を具体的に書き込んだ本です。

 

 

   荒井さんのパワーポイントは、伏字がところどころにあり、フロアの聴衆も一緒に考えるように工夫しています。これがただ聴くだけの立場から一緒に考える立場になり、講演会を一層盛り上げる効果になっています。

  講演会の後は、荒井さんの叙勲をお祝いするセレモニーに移り、記念品贈呈からお祝いスピーチなど最後まで楽しい研究会でした。