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100回記念イベント第2弾で佐々木信夫先生が知財戦略で講演

2013/03/17

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 21世紀構想研究会の100回記念イベントが進んでいるが、4月24日には第2弾として佐々木信夫先生(元特許庁特許技監、株式会社特許戦略設計研究所代表取締役)が講演し、日本に横たわる知財戦略の課題を分析して指摘し、これから取り組むべき戦略について多くの示唆に富んだ提言を行った。

 佐々木先生は、1998年に特許技監を務めたが、そのときの特許庁長官は荒井寿光氏である。この日は荒井氏も出席し、往時の長官・技監の名コンビで講演の後の討論を盛り上げた。

 佐々木先生の講演内容で筆者が印象に残ったのは、アジア・中国を中心に広がっている巧妙な特許模倣システムの広がり、欧州特許庁の停滞ぶり、日米特許対話の流れなどである。また、自身の手がけている具体的な特許・ビジネス戦略について、ケーススタディの形で披露し、日本の特許戦略と産学連携の現場に横たわる様々な課題をあげた。

 安倍政権の掲げる「三本の矢」政策の最大の課題は、失われた20年で現出していたデフレ経済を脱するために成長戦略を見直して具体化し、速やかに実現することだ。そのために佐々木先生は、知財の保護ルールの国際的な共通化をあげた。TPPの知財保護ルールの共通化、日中韓のFTA交渉の知財保護ルールの共通化、日欧のEPA交渉の知財の保護ルールの共通化などである。

 また国内の知財政策では、グレースピリオド1年の制度化、超早期審査の制度化、18か月以内の特許取得手続きの制度化などをあげ、そのためには特許紛争実態の調査と監視の励行や無審査実用新案法の根絶などをあげた。これは中国で急増する実用新案出願と特許出願は、中国独自の制度が権利意識を突出させており、こうした実態を国際的な共通システムに改めていかないと公正な競争にならないことを指摘したものである。

 そのほかにも重層多岐にわたる国際的な課題提起と日本のとるべき戦略は極めて重大なものばかりであり、今後、佐々木先生の提起した課題を整理し、安倍政権に政策提言できるよう論議を成熟化していく方向を確認してこの日の講演は終了した。