お知らせ

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大学教育の立て直しを考える報告

2023/07/29

21 世紀構想研究会創設 25 周年記念

シンポジウムーその3

「大学教育の立て直しを考える」

開催日時 2023 年7月 18 日(火)午後 6時半-同9時
会 場 日本記者クラブ 10 階大ホール
YouTubeで公開:https://www.youtube.com/watch?v=ye2XYLLWzco

パネリスト
安西祐一郎  公益財団法人東京財団政策研究所所長
各務 洋子    駒澤大学学長
黄 鴻堅(ウイ ホンキエン) 麻布大学獣医学科教授

モデレータ
橋本 五郎 読売新聞社特別編集委員、日本テレビ系報道キャスター

 

 前半プレゼンテーション

 

馬場錬成(認定NPO法人21世紀構想研究会理事長)    

21世紀構想研究会の創設25周年記念シンポジウムの第3回目「大学教育の立て直しを考える」をテーマに、4人のパネリストとモデレータの先生方に討論をしていただきます。

2022年10月1日、第1回が始まりまして、まず小学校教育をどうするかを取り上げました。今、初等教育の現場は、大変な状況にあり現場の課題を出し合って解決策をお互いに討論するというシンポジウムでございました。

2回目は今年に入って、これまた課題が山積している中学高校の教育についていろいろ討論しました。今回は第3回として、大学教育をどうするのかというテーマで、討論していただくことになりました。


最初3人のパネリストの先生方から各10分間ずつプレゼンテーションをしていただき、これを受けた形で、次にパネルディスカッションに入ります。橋本五郎さんをモデレータとして討論を展開しまして、最後にフロアの皆さんからご意見、あるいは質問をいただくという運びです。

同時に、YouTubeでこれを中継しておりますので、チャット形式で質問が入ってくる可能性もございます。その中から選んで、4人の先生方にご回答をいただく、あるいはご意見をいただくという段取りで進めます。それではトップバッター、各務先生、プレゼンテーションをよろしくお願いいたします。

各務 洋子先生 冒頭発言

多様化とデジタル化で現状打破を 

各務      駒澤大学学長の各務洋子と申します。私、学長になりましたのが2年前で、ちょうど今年3年目に入ります。少し自己紹介をさせていただき、本題に入りたいと存じます。
 元々は民間のコンサルティング会社で仕事をしておりましたが、38歳のとき駒澤大学の経営学部に入りました。ここで企業論を教えていたところ、ちょうど8年目を迎えたときに、新しい学部をつくるという機会に遭遇しました。私も一つのアイデアとしてグローバル・メディア・スタディーズ学部の新設を提案しまして、これが採用されました。2006年に同学部が開設されて今ちょうど17年目に入ったところです。その後、学部長を経験し、学長補佐をやりまして、2021年の4月から学長という立場にならせていただきました。

仏教の教えと禅の精神で430年の歴史
まず駒澤大学を説明させていただきますと、明治15年に前身の「曹洞宗大学林専門本校」が創立されて昨年ちょうど140周年を迎えました。さらに歴史をさかのぼると、1592年の曹洞宗「学林」までたどれまして、今年で430年という歴史のある大学です。建学の理念は、仏教の教えと禅の精神ということで、物事の本質の洞察に基づいて、あらゆるものを大切に扱う心を教えとしています。仏教では、この洞察を智慧、この心を慈悲といいます。駒澤大学は、様々な学問を深く広く探求することを通して、智慧を磨いて、慈悲の心を育みながら自己を陶冶し、成長していくことを理念にしております。

様々な指標が示す高等教育の低迷

さて本日のテーマですが、大学教育を考えるうえで、まず日本の現状についての残念な数字を、ダーッと並べてみました。日本の国際競争力。これはIMD(国際経営開発研究所:本部スイス)が1980年代からずっと公表しているものすが、昨年34位でしたけれども、今年は35位に落ちた。日本のジェンダーギャップ指数も非常に残念で、2年前に120位だったのが、今年は125位に陥落。デジタル競争力ランキンも、29位。また、IMDで最近始めた、国際人材競争力—これ、タレントランキングといいますが、41位という状況です。

教育に関しても、世界の教育ICT活用率—これは授業でパソコンを使っているか、ITを使って授業をしているかどうかなど、ICT活用の順位ですけども、OECD(経済協力開発機構)38カ国の中で最下位でございます。教育機関への公的支出の割合は36位。また、高等教育を受ける学生の私費負担率が高く、OECDの中で36位です。

大学のランキングも、日本の大学はなかなか上位に入れない。大学進学率は高い高いといわれてきましたが、日本はOECD平均の62パーセントに及ばず平均以下になっております。大学入学者の年齢層の多様性にも欠け、日本は18歳から22歳に集中しています。世界を見ますと、いろいろな年代の人たちが大学教育で学び直しをしているなか、25歳以上の学士課程への入学者の割合が、OECDの平均を大きく下回っています。(プレゼン資料参照)

3、4年前、欽ちゃん(萩原欽一さん)が72歳で本学仏教学部に入学して話題になりましが、これはもう本当にレアなケースでして・・・。高等教育機関の学生に占める留学生の割合も非常に低く、修士号・博士号取得者数も諸外国と比べて非常に少ない。

残念な数字ばかり並べましたが、小中高の学力でいいますと日本は世界でトップですし、特許件数を挙げれば非常に高い数字を出しています。ただ、博士号や修士号の取得者数の推移が日本はすごく低迷しています。問題は、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、韓国などの国がこの10年で伸びているなか、日本は伸びていないとうことです。

15年たっても変わらぬ課題

なんで日本の大学教育はこんなことになってしまったのか。参考例として、私が2006年に「グローバル・メディア・スタディーズ学部」というのをつくってから15年間の経験を振り返ってみました。当初の私のコンセプトの中心は、グローバルであること。それから、メディアというのはコミュニケーションの手段ということを象徴したキーワードにしたつもりでした。

コミュニケーションの手段として、日本人は英語がなかなか難しいとか、インターネットを使ったコミュニケーションもなかなかうまく進んでいない。それから、スタディーズというのは、これは複数の学問分野をベースにした学際ということを象徴してSをつけた複数形にしました。学際的な教養というものを学べるぞという学部にしたつもりでした。(プレゼン資料左側)

(プレゼン資料の)右側は、15年後の2021年4月に私が学長になった時の公約です。学部創設から年月がたったので、新たに今日本が必要とされるもの、学生に必要とされることを考え直したのですが、結果として15年前の問題点と同じだったというところでございます。

私立大学にも問題意識
話は変わりますが、私、たまたま私立大学連盟の理事をしておりまして、私立大学の課題についての提言を私大連でもしております。

内容は、ポストコロナ時代を見据えた大学教育改革の方向性です。大学設置基準や質保証のあり方を検討し直すべきで、今後の大学というのは、学びを止めない体制を構築したいと。デジタルを活用した学修者本位の学びの多様化、それから、深化の方法を開発しなければいけないというところで、デジタル化と多様性というのは軸になるだろうということです。

それから、学生たちの人間形成の場として、大学は六つの点に注力しなければならないと示しています。一つ目が、大学での学びを新たにしていくこと。それから、グローバル化の促進やリカレント教育(社会人の学び直し)ですね。4番目が、地方創生と大学間連携。都心だけで教育を築くのではなくて、地方の大学と連携をしたり、あるいは地方の教育機関や、企業と連携したりするということが今、非常に求められています。それから、高大連携ですね。高校と大学を接続しなければいけないということ。それから課外活動といったような計六つを挙げておりますけれども、まだまだ日本の達成度が低いということでございます。

求められる「人への投資」
 社会との関係では、2019年の1月に、経団連と国公私立大学のトップで構成する「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が提言を行っております。こちらも、産官学というのがもう少しネットワークを組んで情報交換をすることによって、たとえばリスキリング(新なスキルの習得)やリカレントといったようなことが促進できるであろうと述べております。いずれにしても、人への投資を続けていこうというコンセプトでございます。

 「教育未来創造会議」(内閣官房)というのがございますが、そこでも強調しているのは、人への投資というところです。多様性を育むために留学生交流を高めようとか、日本で価値のある教育を提供して、海外の学生たちに来てもらおうと。あるいは、国内の学生が、今コロナで大変でしたけれども、もう明けてきましたので、どんどん外に出られるようにしましょうというような取組みを進めているところでございます。

学生・教員ともに多様化、デジタル化意識を
 最後にまとめですが、1番目に、とにかく多様性と包摂性のある教育環境を早急に構築しなければいけない。日本というのは島国なので・・・などといわれてきましたが、 やはり意識的に、継続的に、他のものが入るような仕組みを本当につくらなければいけないというのは、もう切羽詰まったことだろうと思っています。2番目の、デジタルを駆使できる教育環境を早急に構築する。このデジタルというのは、島国的な情報が入ってこない状況を唯一広げる手段だと思っています。そのデジタル化によって、結局グローバル化とか、リカレント、リスキリングといったようなことが押し進められるのではないかと期待しております。

 学生と教員の両方で意識的に多様化とデジタル化の実現をしてみると、結果的に、最初に申し上げました残念な数字が少しずつ良くなってくるのではないかと、ちょっと楽観的かもしれませんが、そう思っております。

黄鴻堅(ウイ ホンキエン)先生 冒頭発言

偏差値至上主義の呪縛をいかに解くか

黃         こんばんは。黃(ウイ)と申します。今は、JST(科学技術振興機構)の「さくらサイエンスプログラム」に所属しておりまして、これは、海外の若者を日本に招へいし、日本の科学技術を体験させるというものです。今日会場にこられている沖村先生が初代として14年前、このプログラムを立ち上げました。ぜひ各大学がご利用くださればありがたいです。

 自己紹介ですが、私の国籍はマレーシアです。日本の国費留学生として1975年に来日し、北海道大学の獣医学部を卒業した後に、株式会社北海道動物医学センターに就職。その後にアメリカに留学し、助手として北海道大学に戻ってきました。さらに台湾の中興大学で18年間過ごした後、山口大学と麻布大学で教鞭をとらせていただきました。

大学の多様な課題

大学のことを考えるにあたり、まず日本の大学はどれくらいの数があるか。国公立の場合だと187校もありまして、私立がさらに620もあるということです。1億2,000万人の人口の国にとって、この数は多いか少ないか、考えてみてください。

 大学にとっての課題は何か。もちろん、国公立と私立大学では全然違うところがございます。私立大学の場合だと、まず学生定員を満たせるか、満たせないかをいつも心配しています。その他にも、たとえば大学の独特性をいかに示し、自分の大学の知名度をどう高めるか。優秀な教員を引き留め、教職員たちに大学の使命をいかに認識してもらうか。限定された予算とリソースで大学を運営するには、やはり収入の増加が必要で、学生と教員の多様性も欠かせない。先端技術の導入では、たとえば教育ツール。今でいうと、ChatGPT、ICT、インターナショナルコミュニケーションテクノロジーをいかに取り入れるかどうか。国内外の大学との競争もやはり課題になるんです。早い話をすると、人材、金とアイデアの勝負ですね。

行き過ぎた偏差値至上主義

日本にとってやはり、大学の受験の問題があります。端的にいえば、偏差値に呪縛されている受験産業の至上主義ということです。偏差値だけで受験大学を決める。それを受け入れる高校、予備校、大学、社会はどう考えているのでしょうか。投影資料でお示しするように、受験生を差別化する数々の呼称がございます。

7帝大とか、GMARCH、日東駒専、早慶上理ICU・・・。こうした大学に入って卒業したたくさんの学生、卒業生がおりますが、差別につながりかねないこうした呼称が果たして必要なのでしょうか。

日本の大学はハードよりソフトが問題
日本の大学は国際的に何が遅れているかということですが、実は日本の大学は施設、機械などのハードウェアのほうは、欧米に比べてかなり進んでいるということです。では何が負けているかというと、ソフトウェアということです。ソフトウェアの具体的な例としては、まず大学院生の訓練。研究論文の作成のトレーニングが欠けているのではないかということです。

さらに、教員の人たちに語学力が欠けているところもあります。多くの国では、語学力がある程度に達していないと採用の対象になりません。たとえばタイ国のチュラロンコン大学、TOEICがたしか700点以上じゃないと、いくらPh.D.を持っていても応募することができません。あと、外国人の人材の受け入れも遅れています。

ディシジョン・メイキングのあり方や、フレキシビリティの不足も問題です。あと、カリキュラムの改善、学位の審査ですね。たとえば、私が台湾の大学にいるときに、全てのマスター以上の大学の学位の審査は、必ず3分の1が外部審査員じゃないと認めないということです。要するに、別の大学から人を呼んできて審査する。

地域への貢献も不足しています。今問われているのが、ユニバーシティ・ソーシャル・レスポンシビリティ(大学の社会的責任)ですね。企業にはコーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティがあるんですけども、大学のほうにもこれが延長してきている。要するに近隣の公的機関との連絡や付き合いですね。たとえば消防署とか、警察署とか・・・大学がそうしたところと、きちんと連絡を取っているかどうかということです。

 大学改革は内部から

それでは、何を改革すべきか。まず新しい血を入れるということです。動物を例にとると、ウサギは6代内部繁殖すると、だんだん子どもが産めなくなるということです。大学も内部繁殖を続けると弊害がでる。斬新な発想とビジョンも、それぞれの大学が持たなければならない。要するにアイデアの勝負。社会ニーズに応える人材の輩出も重要ですね。ただ自分のカリキュラムばっかりで教育すると、出ていく学生が社会に対応できない。スライドで要点をお示しします。

改革といっても、外圧による改革と内側からの改革があります。卵は外から殻を割ると他人の食べ物になるだけですが、中から殻を割るとそれは生命活動そのもので、成長につながるということです。

差別化呼称の不使用運動を
最後になりますが、日本の大学改革について3点を強調したいと思います。う。まず第一歩は、大学教育などを軽くからかう早慶上理、日東駒専などの差別化呼称を意識して使わないよう、不使用運動を提言します。第2は、競争相手は他の国内外大学だけでなく、自分のマンネリ化ということです。とくに社会の変化に対応できる、臨機応変計画—コンティンジェンシープランを保持することを提案します。第3には、大学関連法をもう一度読み直し、具体的な学内改革、対外政策に反映し、合理的に対応することを提言します

 

   安西祐一郎先生 冒頭発言

 学問の自由に名を借りた内輪体質の克服を

安西     今、各務先生と黃先生のお話を聞きまして、驚いたことに私が用意した最初のスライドと全く同じなんですね。打ち合わせしたわけじゃないんですけども。第1番に、多様性がないこと。2番目が教育のオープン化。DX—デジタル・トランスフォーメーションですね。デジタル化というのは大事なポイントですけど、マイナンバーカードに象徴されるように、急に入れようと思ってもなかなか入らない。大学でも同じだと思います。これをどうしていくのかということは、やはり大学全体の課題でございます。

3番はイノベーターの育成と書いてありますけれども、正しいことを新たにつくるのではなくて、すでにある正しい答えを探し求める人間を高評価しすぎてきた。偏差値輪切りでレッテルを貼るということは、もう通用しなくなるはずだということであります。全体的にきつい言葉ですけれども、一番下にありますように、学問の自由に名を借りた、競争のない内輪体質と書きました。大学関連法で縛られているように見える大学ですが、逆に守られている面もあるんですね。結局それぞれの大学がある安定したポジションを持つと、なかなかそこから変われないし、変わらなくても済んでしまうという面があります。

 18歳人口の減少と入試・教育の形骸化

今の大学の基本的な課題は、最終的には18歳人口の減少というところにたどり着きます。私の頃に比べて2分の1以下でしょうね。18歳人口が減る一方で大学進学率はずっと高まっていますので、大学のあり方というのは、シニア世代の思っているのとはまったく違う状況にある。経営困難校、いわゆる定員に満たない大学が40パーセントくらいあると思いますけれども、若年人口が減って、しかも経営をしっかりやっていくには、受験生をとにかく集める必要がある。入試なしでも入ってもらわないと大学がもたないというところもある。そうすると、入試が形骸化してさらに教育も形骸化するということですね。教育はどうでもよくて、とにかく入ってもらって経営を維持するという・・・。

一方で過熱化も起こる。やはりいい大学に行けば将来が保証されるという風潮はなかなか消えない。東大が悪い大学という意味ではなくて、日本でつくられてきた東大を頂点とするピラミッド構造。このもとで進学指導の先生も、高校も、いろいろな方が動いているわけでございます。東京大学と京都大学の運営費交付金の違いというのは、実は京大が東大の3分の2。これは京大が日清戦争直後にできたときからほとんど変わっていないんです。3分の2ということは、京大が東大を抜こうと思ってもほとんど抜けないということです。

大学教育と雇用構造のミスマッチ

高校卒業で就職する、そういう若い人たちが激減している問題もあります。1960年代の初めには、110万か120万人くらいいたのが、2012、3年頃には15万人くらいしかいない。100万人くらい減っている。どうなったかというと、専門学校に行くか、大学に進学する。高校を卒業して、いろいろな地域で一生懸命働いている人たちが大学に行くようになったこと自体は問題ではないが、大学は社会が求める人材を必ずしも提供できていない。様々な要因もあって、やはり大学の教育の質が全体としては劣化していると申し上げざるを得ない状況ですね。

富士山型からせめて八ヶ岳型に

 問題点の最後でございますけど、歴史的に東大を頂点とした構造がつくられてしまっていて、若い人たちが進学のパスやその後のキャリアパスを選びにくい状況がある。これを反映して、日本の高校生は他の国々に比べてなかなか目標を持てないとか、あるいは将来の希望が持てないというデータがあります。そこで、富士山型、あるいはピラミッド型から、せめて八ヶ岳型くらいにして、自分に合ったルートを選んで自分の人生をつくっていける、そういう日本になってほしいと思っています。完全にフラットにと申し上げているわけではない。やはり努力やいろいろな適性にもよりますから。ただ、完全なピラミッド構造というのは、やはり人間の自由というんでしょうか、それを阻害するように思います。

結局こういう話をしていると、問題は教育財源になります。日本の財政が大変だと財務省はいいますが、そういう中で大学教育の財源をどこに求めるか。それから、どんな理由で求めるか。大学が教育を本当にちゃんとやってくれるのであればお金は出しますよと財政当局がいうのに対して大学は、お金を出してくれれば教育はちゃんとやりますよという。いつまで経っても平行線で、誰もがわからなくなっちゃったんですね。大学教育というのは日本にとって何なのか。ずっと惰性で来ているために、こうした基本がわからなくなっているのが現状のように思えます。

 第2東大をつくったらどうか

立て直しをどのように考えるか、資料をお示しします。ちょっと刺激的で申し訳ありませんけども、このまえ黒川清先生のご本で対談させていただいたときに、「第2東大をつくったらどうか」という話が出ました。半分冗談に聞こえるかもしれませんが、せめて日本に二つくらい東大があって、どっちでも選べるよという構造です。高校生から見て、選べるということがやっぱり大事なんじゃないかなと。

それから、2番目は、社会人にもオープンな大学を目指す。大体「社会人学生」という言葉は日本にしかなく、国際標準では何歳の人が大学に行くべきなどという話などはないわけでございます。3番の単位認定の問題以下、様々な立て直し策を表にお示ししました。最後の10番は「大学教育政策、教育財源政策にかかわる独立シンクタンクの設置」と書かせていただきました。

文部科学省を中心に今政府がやっておられることが悪いというわけではなく、やはり第三者の立場でもしっかりと検討、提言などして、それをぜひ政策に反映していただくようなことがあってもいいんじゃないかなというふうに思っております。

大変抽象的で大ざっぱな話で申し訳ありませんけれども、以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

冒頭発言終わり

パネルディスカッションに続く